第三話「滅びた村」
「私はケリー・モーガン。犬のバスティアンと一緒に旅をしている。
一応、医療の心得はあるんだけど、それを試せる他人に出会ったことはまだない」
「人、だったものが二体。生きてる人は、ここにもいなさそうね」
ケリー・モーガンが立っているのは、彼女が遺跡から発掘した座標によると、古代船の墜落現場だ。それが落ちてきた時期は、1500年前ほど昔で、それ以降と以前の記録は、この世界には、ほとんど残されていない。彼女はそれを探して旅をしている。
「端末がまだ生きてる。ほいほいほいのほい」
ここの住人が遺したと思われる記録によれば、このエリアはアウター・ディレクトリと呼ばれている地域のようだった。船と同様に太古に作られた人工知能体のひとつ、ウォーデンと名乗る存在に管理されているが、なぜか多くの領域が、それぞれ高い壁に隔てられている。
「うーん・・・あとは断片化が激しくて読めないな。分かるのはこれだけか」
ただ一つ分かったのは、この船の残骸から、さらに東に向かった土地、アウター・ディレクトリを抜けた先に、何かがあるということだった。
「旅の目的地は決まったようね」