第二十四話「作り出せたもの」
「結構な数の野菜が採れたんで、お前らにも分けに来たぜ」
「いつもありがとう。助かるわねー」
「感謝してるなら一回くらいはデートしてくれよ、ナディーン」
「そうね、そのうちにね」
アウター・ディレクトリのさらに外、名もない世界にたどり着いた人々は、そこに定着し、少しずつ平和な生活を築き始めていた。湧き水も豊富にあり、土も肥沃とはいかないものの、食べてゆくには十分な程度には豊かだった。
森の中に、古い時代の、古い戦車が静かに眠っていた。
「動かせそうか?」
「どうだろうな。ちょっと古すぎるし、もしも敵が来たとしても役には立たんだろう。
俺としては、このじいさんを、このまま寝かせておいてやりたい」
「そうだな」