Majotta’s Workshop

インディゲームのいろいろと、ちょっとした創作

STORMWORLD #08

第八話「ミリセントの旅」

 

 

ミリセントは放棄された軍のキャンプを発見した。とはいえ、規模は小さく、せいぜい2-3人がいた程度のものだろう。白骨化した遺体がひとつ、砂に埋もれかけている。

 

 

「花がなくてゴメンね」

彼女は白骨を丁寧に埋葬した。

それは優しさからでもあるが、ここにある物資を全部、心おきなく、もらうためでもあった。キャンプを漁ってみたところ、数日は持つ程度の水と食料はある。

 

 

そして、最大の収穫は、ちゃんと動きそうな輸送車を手に入れたことだ。若干改造が施されているものの、元は軍用車両であるため、おそらくは頑丈だろう。

 

 

テントの中には、軍から支給されていた備品と思わしきノートパソコンもあった。なぜか彼女はそれを使う知識を持っていた。そして一緒に保管されていた高性能なアンテナを接続し、周辺の地理データをダウンロードすることに成功したのだった。

 

このあたりは、軍からは管轄外エリアと呼ばれているらしい。そして、PCに残されていた個人日誌によると、このキャンプの持ち主は脱走兵で、軍から逃げ続けて、ここにたどりついたのだと分かった。彼の死因は、脱走の際に受けた銃創によるものだということも。

 

「トラックの燃料があるうちに、なんとか補給できるところまで行きたいな・・・」

 

近くに人が住んでいる場所がないか検索してみたところ、一つだけガスステーションがある。ここなら、キャンプにある物資を売り払い、ガソリンを買えるかもしれない。情報によると、人々は軍の横流し品には、特に高値を付ける傾向にあるため、今それを手に入れたばかりのミリセントにとっては都合がよかった。

 

 

「いつゾンビの群がやってくるかは分からないし、このまま出発しよう」

 

ミリセントは一昼夜歩き続けたため、実はかなり眠かったのだが、徒歩でゆける距離ならば、ゾンビも徒歩でたどり着く可能性がある。車の移動力を使って、ゾンビの追跡を完全に振り払わなければ、この世界では安全に眠ることも難しいのである。

 

持てるだけ、積めるだけの荷物を積み込むと、ミリーは一路、ガスステーションを目指し、トラックを走らせるのだった。