Majotta’s Workshop

インディゲームのいろいろと、ちょっとした創作

STORMWORLD #04

第四話「アイ・オブ・ザ・ウォーデン」

 

「このまま進むと、死ぬか殺されるか、どっちかみたいね」

 

ケリーの目の前に聳え立つ巨大な門は、アウター・ディレクトリの出口であることはわかっていた。しかし、二つのレーザータレットが、訪れる者を無差別に焼き払っていることは明白である。

 

彼女は少なくとも愚かではないので、強行突破することはしなかった。そして性格的に説得は苦手だが、ハッキングは得意であるため、これを無力化できる方法が、いつか必ず見つかると考えてもいた。

 

「まあ、急がば回れ、かな。一度戻ろう」

STORMWORLD #03

第三話「滅びた村」

 

「私はケリー・モーガン。犬のバスティアンと一緒に旅をしている。

一応、医療の心得はあるんだけど、それを試せる他人に出会ったことはまだない」

 

 

「人、だったものが二体。生きてる人は、ここにもいなさそうね」

 

リー・モーガンが立っているのは、彼女が遺跡から発掘した座標によると、古代船の墜落現場だ。それが落ちてきた時期は、1500年前ほど昔で、それ以降と以前の記録は、この世界には、ほとんど残されていない。彼女はそれを探して旅をしている。

 

 

「端末がまだ生きてる。ほいほいほいのほい」

 

ここの住人が遺したと思われる記録によれば、このエリアはアウター・ディレクトリと呼ばれている地域のようだった。船と同様に太古に作られた人工知能体のひとつ、ウォーデンと名乗る存在に管理されているが、なぜか多くの領域が、それぞれ高い壁に隔てられている。

 

「うーん・・・あとは断片化が激しくて読めないな。分かるのはこれだけか」

 

ただ一つ分かったのは、この船の残骸から、さらに東に向かった土地、アウター・ディレクトリを抜けた先に、何かがあるということだった。

 

「旅の目的地は決まったようね」

STORMWORLD #02

第二話「ザ・ウォール

 

「俺はジョエル。この砂だらけの世界から出る方法を探して旅をしてる。

だが、世界の果てを、思ってたよりも早く見つけてしまったようだ」

 

 

ジョエルの目の前には、それほど高くはない壁が連なっている。工夫をすれば、越えられなくはないだろう。だが、おそらくは無人の監視塔に備え付けられている、「ドデカいタレット」が、越境しようとする者を塵と灰に変えてしまうことは、彼にも分かっていた。

 

 

「仕方がねえ、別の方法を探るか・・・」

STORMWORLD #01

 

第一話「目覚め」

 

「私はミリセント。ミリセント・グリーン。覚えているのは、それだけ」

 

ミリーは、廃材で作られた、かろうじて居住地と呼べる場所で目覚めた。

目覚める以前の記憶は何もなく、自分がなぜそこにいるのか、ここはどこなのか、何一つ思い出せなかった。

 

キャンプテーブルの上には、バットと、拳銃が置かれている。

少しだが、弾薬も残されていた。そして、一通の手紙が添えられていた。

 

「俺の名はジョエル。もしも、いまこれを読んでいる奴がいるのなら、お前のために、武器と弾、バックパックの中身を残しておく。少なくて悪いが、俺も手持ちに余裕がないんだ。そして、気づいたと思うが、この村には水がない。俺はそれを探しに行く。お前もそうしろ」

 

 

 

乾ききった風が、頬を乱暴に撫でてゆく。かさついた肌に触れ、ミリセントはジョエルと名乗る人物が残した荷物を手にすると、この誰からも忘れられた廃材置き場を離れることを決意した。

 

 

 

名もなき人々の、STORMWORLDの旅が始まります。

Zombasite:その荒削りな原石

 

今回はちょっと辛口ですが、本作の遊び方についての話になります。

 

記事のために画像を収録しつつプレイしているのですが、前回はゾンビの襲撃から、それに乗じた敵対勢力のレイドによって滅亡してしまいました。

 

 

収録用のデータとはいえ、けっこうマジメにプレイしていた(そうしないと負ける)のですが、それでもこの有様なのです・・・。

 

つまるところ、このゲームは難しい。わたしは改めてそう感じました。しかしながら、プレイ開始前にワールドデータを創造する段階で、実はバランスの調整がプレイヤー側で任意にできるようになっていることに、みなさんもお気づきになられるかと思います。

DifficultyがNomalでもこの体たらくなので、いかに本作の難易度が高いか、伺い知れるのですが、それを少しでも緩和するために、いろいろなオプションがチェックボックスから設定できるようにはなっています。

 

(なんと、ゾンビゲームなのにも関わらず、ゾンビを出さない設定にすらできます)

 

まあ、ゲーマーの端くれとしては、なるべくここは調節したくはないのが本音ですが、そういう強がりを言っていると普通に負けますので、ここは自らのプライドを折って、自分なりに活路を見出してゆくのが良いと思います。

 

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本作はなぜ難しいのか

その答えは明白です。ほぼすべての要素が、プロシージャルつまり自動生成だからです。シヴィライゼーションシリーズや、ローグライク同様に、ランダム性が強く、運次第で好条件になったり、悪条件になったりします。こういうシステムを作る場合、リニアーな進行のゲームと違って、バランス調整が非常に難しいのです。全滅した場合は、作者が悪いというよりは、プレイヤーの運が悪いと考えたほうがよいと思います。

 

それゆえに、プレイヤー側でバランス調整ができるような作りになっているわけです。

 

だからこそ、このゲームは面白い。

Zombasiteは、磨かれていない原石であり、それを磨くのはわたしであり、またあなたなのです。

 

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最後に

このゲームを人にお勧めするか、と聞かれたら、おそらくわたしはノーと言うかもしれません。少なくとも万人に勧めるタイプのゲームではなく、どちらかといえば、普通のハクスラに飽きてきた人、もしくは一風変わったものを求めている、好事家向けのゲーム、カルトな人気を博す玄人好みの作品であると言えます。

 

だからこそ、わたしはこのゲームを改めて紹介したいのです。

いまやメジャーなタイトルはインディーにも数多くあり、それは他の方に任せ、自分は自分の好きなものについて書いてゆくのがいいかなと思った次第です。

 

Zombasiteのリリースは2016年と、たいぶ古い作品です。新作ではない名作、どちらかというと迷作に近いのですが、よろしかったら、みなさんもこのちょっとヘンな世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。

Zombasite:ハクスラなのにポーションが売ってない

Zombasite第二回目は、筆者が実際に遭遇した大きな問題と、開発者が提示する、その意外な解決法についての話です。

 

 

単刀直入に申しますと、回復魔法のないクラスにとっての序盤攻略は、実はものすごく大変です。楽に進めたいのなら、自己回復(NPCに対しても)のできるヒーラー職(Priest)がいいと思いますが、それもちゃんと開発者が想定していることなので、好きな職業で始めましょう。

 

 

 

拠点は町ではない

Zombasiteの初期スポーン地点にして拠点は、町と言うよりは、「滅ぼされかけている廃墟」に近いです。大抵のハクスラでは、最初に降り立つ拠点は、いくら世界が滅亡しかけていても、必要最低限の施設はあります。酒場はともかく、武器防具鍛冶やポーションを売っている薬草医が大抵、いたりしますが、Zombasiteの拠点には、そういう人々はほとんどいません。

 

 

 

このように、建物は焼け落ちたりしています。ここでゾンビ災禍に見舞われたNPCの人々は肩を寄せ合って暮らしているのです。そう、再建するのは、あなた(とわたし)です。

 

そして、ろくに装備もない、裸一貫から我々の旅は始まります。

 

装備を求めて

とりあえず、本作の基本構造はハクスラなので、クエストなどを受けたら、さっさと拠点から出て冒険に出ます。装備など必要なものは現地調達が基本です。ポーションの数がなんとなく心もとない気がしますが、気のせいでしょう。

 



気のせいではなかった。

 

ポーションはどこにあるの?

戦っているうちに分かりますが、Zombasite世界のモンスターやゾンビは、そこそこ強いです。たまに猛烈に強いエリートがいたりすると、詰みかけるくらいです。死ぬとしばらくは経験値バーに負債ペナルティがつくため、死にたくはないのですが、回復ポーションを連打していると、それが圧倒的に足りないことに気づきます。

 

 

ここで、大抵の人は「回復手段がないじゃん。これクソゲーじゃね?」と、思うはずです。実は筆者もそう思いかけたのですが、ポーションの枯渇問題に対して、意外な解決法が用意されていました。

 

 

手持ちのポーションが完全になくなると、この画面が出ます。

NPCと一緒に、資源を調達するための、採取活動を行うことができるのですが、それを達成したときに、初めてポーション類が補充される、という仕組みになっているようです。敵からももちろんドロップはしますが、多分、使用する数のほうが、拾える数よりも少ないでしょう。

 

資源収集を開始すると、拠点にこの赤いゲートが出るので、そこに入れば採取が始まります。NPCを死なせないように気を配りましょう。

 

期間はだいたい5分くらいです。おもに採取はNPCがしてくれるので、プレイヤーのすることは、NPCを守ることに徹するのがいいです。

 

今回の探索では、ポーションが17個も手に入りました。

 

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NPCたちも生きている

問題が一つあります。

 

NPCもプレイヤー同様にストレスを感じています。仕事で疲れていたりすると、次第に正気を失ってゆきます。適度に休暇を与えてあげなければなりません。本作は会社経営のような側面も持っているのです。好きなタイミングでポーションが補充できるとは限りませんし、そういうときに限って拠点に襲撃がきたりすると、もうなにがなにやら投げ出したくなりますが、頑張りましょう。

 

こうして、少しずつ一進一退、攻防一体を繰り返しつつ、ゾンビと戦いながら探索範囲を広げてゆくゲームなのです。

Zombasite:ハクスラとストラテジーの融合

今回の記事は、前回ご紹介させていただいたDin's Curseと同じデベロッパーの作品、Zombasiteです。

Din's Curseが概ねハクスラだけに特化していたのに対し、Zombasiteはもっと複雑な構造をしています。対ゾンビに備えた外交、探索、資源の採取やダンジョンの攻略、自分のキャラクターの育成など、やるべきことは多岐にわたります。

 

それを一つずつ解説してゆこうと思います。

 

 

 

キャラクターベースのストラテジー

このゲームは、4Xストラテジーではありませんが、他の派閥の指導者と外交を行い、同盟を組んだり、もしくは戦争をしたりします。それはゾンビ勢力に対抗するためでもあるのですが、普通この手のゲームでは、プレイヤーキャラクターは存在しないか、もしくは概念的なもの、シンボルでしかないことが多いです。

 

しかしZombasiteでは、普通のハクスラと同様に、装備欄と能力値のあるRPGとしてのキャラクターを作成し、それを動かすことになっているのです。

 

このように、普通にRPGです。

 

エス

拠点には掲示板があり、そこでクエストを受領できます。これは自分のレベルを上げるために必要であるのと、他の勢力との関係を改善するのにも役立ちます。またクエストを受けなくても、条件を満たしているものは自動的に達成になるので、暇を見ては掲示板を見に行くといいかもしれません。

 

外交

ゲームを開始してしばらくすると、ドアをノックする音とともに、外交アイコンが表示されます。それをクリックすると、最初は挨拶(いきなりケンカ腰の勢力もいますが)から始まり、画面右下のメニューから外交が選べるようになります。

 

贈り物をしたりして相手の機嫌を取りつつ、不可侵条約から始まり、同盟を組んだりします。もちろんケンカを仕掛けて相手の勢力を叩き潰してもいいですが、もちろんそのためには軍事力がいります。それは後述します。

 

 

探索に征こう

さて、前説でだいたいゲームの概要はお伝えできたと思います。

Zombasiteは椅子に座って判子を押したり、サインをしたりするゲームではありません。派閥の指導者みずから、冒険に出かけなければならないのです。

 

画面は森ですが、他にもいろんなバイオームがあります。

 

宝箱もたまにあるよ!

 

そしてハクスラ

 

本作というかSoldak Entertainment製のゲーム全体の基幹部分をなすのは、ハック&スラッシュ・ベースのゲームシステムです。これは本作においても採用されており、プレイヤーは拠点の外に出て、ゾンビを含む敵対するものすべてと戦います。そして経験値を貯め、レベルを上げて、敵から得たアイテムを身につけて、どんどん自分の分身であるキャラクターを強くしてゆくわけです。

 

フィールドにはみんな大好きなダンジョンもあります。ここが本作がストラテジーの皮をかぶったハクスラであるが所以です。中にはモンスターや宝箱があったりするので、余裕があれば探索するといいでしょう。中立のNPCと出会うこともあり、彼らを自分の派閥に勧誘することもできます。仲間は多いほうがいいので、積極的に誘ってゆくとよろしいでしょう。

 

拾って持ち帰ったアイテムは、もちろん自分で装備したり、味方に渡して戦力増強に努めてもいいです。自分にとってはいらないアイテムでも、仲間のNPCは必要としているかもしれませんよ。

 

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余談ですが、外交要素はおまけとはいいませんが、本作はたとえゲームオーバーになっても、キャラクターのデータだけは、次の世界生成のときに引き継ぐことができるため、このハクスラ部分、キャラクターの育成とアイテムハックこそが、Zombasiteにおけるゲームプレイの主目的であるといえるでしょう。つまり、冒険を繰り返して、どんどん強くしましょうということです。なぜなら、外交も常に穏便に済むとは限らないからです。時には力で相手を制圧しなければなりません。自分にその気がなくとも、攻め込まれることもあります。そのときに有利にことが運ぶように、常日頃から自分のキャラクターを鍛えてゆく必要があるわけです。もちろんゾンビと戦うためにも!

 

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ゾンビについて

本作におけるマップはプロシージャル生成なので、外に出ていきなりゾンビがいることもありますし、普通のモンスターしかいないこともあります。また、ゾンビと戦うことにはリスクがあります。宿主をゾンビ化する寄生生物に感染することがあるからです。できれば戦いたくない相手ですが、避けても通れません。

 

最初から抗感染薬は数本持ってはいますが、数には限りがあるので、大切に使いましょう。もちろん後で手に入れることもできますが、基本的には貴重品です。

 

 

フィールドにはいろんなモンスターや、他派閥の探索者たちもいます。彼らと協力してもいいし、戦いを仕掛けてもいいです。ただ、最初はあまりむやみに戦争をしないほうがいいとは思います。なぜならゾンビ以外に敵を増やすと面倒だからです。

 

 

冒険とはたぶんにストレスである

このゲームをプレイしていると、多分、無自覚なマイクロストレスを感じることが多いと思います。その理由は「思い通りにいかないから」です。ですが、思いどおりに行く冒険などありはしません。フロドの旅のように。

 

その理由は後述します。

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1.ゾンビの脅威

本作Zombasiteでは、常に動的に世界が動いています。特にゾンビ化した種族が、絶え間なく勢力の拡張をしているため、自分のペースで冒険を進めることが難しいです。なぜなら、ゾンビとの戦いでいちばん嫌な「感染」をするからです。なるべくなら、これを避けたい。

そして、Zombie Threatという「脅威度」のゲージが、少しずつ上昇し、これが上がるにつれて、ゾンビたちの拠点への襲撃の危険性が高まります。これを止めることは難しく、なるべく上がらないように努めつつ、冒険も進める必要があります。

 

2.攻め込まれる危険

本作における拠点は常に安全とは限りません。

ゾンビ以外にも敵のモンスター勢力たちが、たまに襲撃をしてきます。そのため外に出ているときに襲撃が起こると、急いで拠点へ引き返す必要に迫られます。

 

3.NPCたちの生活

拠点に住むNPCたちにも、ステータスがあり、アイテムも個別に持っています。

そして彼らにも人間関係というものがそれぞれあり、時にケンカをしたりもします。下手をすると殺し合いに発展してしまうこともあり、たまに面倒を見てあげなければなりません。もちろん放置していても問題はないのですが、味方が減る(特に有用なスキルを持つ人材)のはあまり良くないことですので、適度に構っておくのがいいかもしれません。

 

4.ままならない他勢力との外交

好戦的な勢力もあれば、温和な勢力もありますが、彼らも相性というものがあり、互いにいがみ合ったりします。そのため仲を取り持ったり、もしくは煽って互いに戦いをけしかけたりさせることになりますが、いずれにしても自分の勢力だけでゾンビたちと戦うのは難しいため、適当に彼らと協力してゆく必要があるのは確かです。

 

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主にこの4点が、ゲームをスムーズに進行させるのを阻むストレスの原因です。ただ、それを否定してしまうと本作のアイデンティティに関わるので、わたしはこれが個性なのだと肯定的に捉えることにしています。まあ慣れたらこれも面白い要素なのですが、最初はやるべきことの多さに戸惑うかもしれません。

 

とりあえず、今回は、これで終わりです。

まだ詳しく書くべきことは多々あるのですが、情報量の多いゲームであるため、記事を何回かに分けて書いてゆこうと思います。