Majotta’s Workshop

インディゲームのいろいろと、ちょっとした創作

Din's Curse: 古典的ハクスラゲームの魅力

前回の毒舌記事みたいなものは、できればあんまり書かないようにしたいのもあり、今回はちゃんとDin's Curseの良いところ、面白い部分について解説したいと思います。

 

町は燃えているか

 

 

本作で採用されているゲームシステムは、基本的には普通のハクスラです。

「敵が無数に出てきて、それをクリックして倒してアイテムを拾う」

というおなじみのゲームです。そう、ダンジョンで戦い、アイテムを集めて、荷物がいっぱいになったら、拠点に戻って倉庫にいれたり、要らないものは売却するという、いつものルーティンで成り立っている。

 

ただし、それだけで終わっていないゲームでもあります。

 

Din's Curseでは、なんと拠点に敵が侵攻してくるのです。もちろん、たまにですが、妙なタイミングで襲撃が来ると、町に戻るのが大変な本作では、大抵は間に合わなくて何人かNPCの犠牲者が出てしまうことも多々あります。

 

 

今回、わたしが遭遇したパターンでは、敵の襲撃により、ポーションを販売してくれているApothecary(薬剤師)のNPCが死んでしまい、そのせいなのかは分かりませんが、拠点に疫病が蔓延してしまったのです。もちろん、自分のキャラクターも罹患して、強烈なデバフを受けてしまいました。

 

わたしのキャラクターはヒーラーなので自己回復ができますが、回復手段をポーションに頼るクラスの場合、ポーション販売をしてくれるNPCが死ぬのは、かなり厳しい状況です。場合によっては詰みに近いかもしれません。(本当に詰んだときには、世界を再生成することができますのでご安心ください)

 

そして疫病を治すために、新しいApothecaryを連れてくるためのクエストが発生し、それをクリアすればいい、という仕組みです。まあ、ゲームシステムとして面白いことは面白いのですが、プレイヤーとしては、状況次第ではぜんぜん笑えません。

 

それでも本作は面白いのです。

むしろその無体とも思える仕様が、ダンジョンで敵を無双してアイテムを集める、という決まりきったルーティンワークに、ちょっとした変拍子な刺激を与えてくれるからです。

 

 

書(クエスト)を持とう、街を出よう

 

 

Din's Curseでは、基本的に町の構造やNPCの名前にいたるまで、すべて手続き型の自動生成です。クエストもその例にもれず、情勢に合わせて発生したり、消えたりします。

 

ハクスラにおけるクエストというものは、ほとんどがフレーバー扱いだったりしますが、本作ではレベル上げのための重要な手段の一つとなっています。もらえる経験値が大きいからです。

 

具体的にいうと、適正レベルのモンスターを倒して得られるのは45expくらいですが、クエスト完了時には2000expくらいもらえます。あと、クエストをした回数で、そのワールドにおけるクリア条件を満たしたことになるため、常になにかしらの依頼を受けた状態でダンジョンに潜ることになりますが、ダンジョンに行くための動機、目的意識を持ちやすいので、個人的には良い仕様だと思っています。

 

ハックしたり、スラッシュされたり

 

動きの激しいハクスラで、ちゃんとした写真を撮るのは難しいです・・・。

 

さて、本作の一番たのしい部分は、やはり戦闘というかダンジョン攻略にあります。最初のうちはそうでもありませんが、だんだん敵が強くなり、階段を降りたら即敵と交戦という状況も珍しくなく、それが良い意味でも悪い意味でも緊張感を与えてくれます。入口付近が安全になっていることの多い、昨今のモダンハクスラとは一味違ったワイルドさが本作には息づいている。ここもわたしの好きなポイントのひとつです。

 

あと、狭い通路もけっこうあり、敵がたくさん群れている場合は、おびき寄せて各個撃破しつつ進んだりと、ただスキルを連打して無双するだけのゲームにはなっていません。今と違って、昔のハクスラはこうだったのですが、わたしはこのほうが好きかな。地味だけど滋味がある、そんな感じ。

 

またデスペナルティがけっこう重い(死んだ場所に落とした魂の回収ができない場合は、EXPをクエスト1回分量くらいロストする)ため、なるべくなら死なずに攻略したいと思わせる作りなのもいいです。デスペナがきつすぎると、誰もプレイしないゲームになったりはしますが、本作はそのへんの調整については、悪くないのではないかと思います。適度な緊張と、やる気を失わせない程度の手心、そのバランスがいい。

 

 

能力値配分

 

あと、追記になりますが、本作では昨今のRPGが失いつつある「能力値配分」が任意にできることも特筆すべきことだと思います。そんな常識すら特筆になってしまう現状が実に悲しいのですが、これがいまCRPGの置かれている現実なのです・・・。

 

要するにステ振りですが、大半のRPGでは、自動的にレベルアップするだけになりつつある。でもそれでは面白くないですからね。Din's Curseでは、好きなように能力値を割り振ることができることも、大きな魅力の一つですね。

 

 

 

まあ、そんな感じの古典的なハクスラゲームであるDin's Curseですが、よろしかったらプレイされてみてはいかがでしょうか。少なくとも今のゲームにはない面白さがあると、わたしは再認識しました。グラフィックこそ今となっては古い(実は当時としてもでした)ものですが、アクション系ハクスラ全盛期の今、ローグライト系ハクスラとしての面白さは健在だと思います。

 

Good Gaming.

インディーゲームの終焉と、未来への希望

インディーゲームを扱う、当Blogでこの話をするのは憚られますが、やはり言わないといけないと思うので、あえて記事にします。

 

わたしはインディーゲームというジャンルが広く認知された時点で、もうこの世界は終わりに近いと思っています。まだ未定義の、つまりジャンル化していないからこそのサブカルチャーであり、ジャンル化された時点で、それはもうメインカルチャーだからです。

 

Steamには遊びきれないほどのゲーム、そして誰の目にも止まらないゲームも山ほどある。つまりそれだけ参入者が多いわけで、今からインディーゲームを始めようという人は、言い方は悪いですが、少なくともアーリーアダプターではないわけです。

 

だから、このジャンルは一旦は死んだ、とわたしは思っています。

今あるのは、ほとんどが「インディーゲームというメジャーゲーム」なのです。

あくまで認識上の話で、売上数云々の話ではないですけどね。

 

 

ですが、希望はある。

 

なぜならゲーム文化自体が死んだわけじゃないからです。

インディーゲームが熱いとか言ってる人は、所詮はファッションゲーマーでしかなく、もともとその世界を支えていた人が消え去ったわけじゃない。ちゃんといるんです。

 

 

さて、今はわたしはこのゲームをプレイしています。

知る人ぞ知るインディーデベロッパー、個性的かつ独創的なゲームを数多く輩出してきたSoldak Entertainmentの初期の作品であり、また古き良き時代のハクスラゲームですが、やはり令和の時代の今プレイしても、色褪せない面白さと魅力が詰まっていると、改めて感じました。

 

とにかくキャラクターの育成と、アイテムを拾うのが楽しい。

ハクスラとはかくあるべきではないかと、このジャンルの魅力を再認識しました。

 

 

そういえば、Din's Curseがリリースされた頃は、まだインディーゲームという言葉すらありませんでしたね。いやあったかもしれませんが、少なくなくともメジャーとインディーという区分で考えてはおらず、みな単に「面白いゲーム」としか言っていませんでした。

 

それが本当のアーリーアダプターであり、ファンなんですよ。

ちなみにイノベーター層は、このゲームを作った人たちですので、我々ゲーマーはその次の層でしかありません。

 

まあ、そういう感じで、インディーゲーム界隈における現状に対しては、わたしもいろいろと物申したくなるのです。今インディーゲームが熱いのではなく、もうその時代は過ぎ去ったのです。

 

とはいえ、初期の頃からこの世界にいた者の一人としては、その時代における隆盛、時流を冷静いや冷笑的にかもしれませんが、見てゆこうかなと思っています。

 

なぜなら、わたしはゲームという遊びをやめませんからね。

Horticular

 

Horticularという、ガーデニングゲームを買ってみました。

わりとわたしの求めている内容に近く、デモ版をプレイしてみたところ、一気にその世界に引き込まれて、気がついたら製品版を購入していました・・・。

 

やさしい世界

若干の戦闘要素(のようなもの)はあるとはいえ、本作は実にやさしいエネルギーでできている感じです。プレイしていると、動植物を慈しむ気持ちが、自然と芽生えてきます。

 

生き物たちの好む環境を作り、ビオトープを形成したりすると、お題(タスク)が達成になって報酬をもらえたりする、ゲームらしい一面もちゃんと持っていますので、ただの雰囲気アプリではなく、しっかりとした内容です。ストーリーもあります。

 

効率と見た目の両立性

 

これはとても難しいです。見た目を重視すると、タスク・クリアを目指すのが難しい場合もありますし、かといって効率だけを追い求めると、満足度の低い庭になってしまうので、その両立をなんとかして目指すのが、たぶんゲームの主目的なのでしょう。ゲーマーの端くれとしては、なるべくお題は達成したいので、実はなかなかに、手応えのあるゲーム。

 

ちなみに、わたしは見た目8割、効率2割くらいの感覚でやっています。それでも大抵のタスクは、普通に達成できるのですが、たまに「チューリップを20本ずつ3種類植えろ」と言う、無理難題を出されることもあります。土地面積の関係や外観、資金のこともあり、なかなか一筋縄ではいかないですね。

 

 

あ、資金と書きましたが、シナリオモードでは無尽蔵に花を植えられるのではなく、レシピを開放しながら、設置物や植物などの種類を増やしてゆくゲームになっているので、毎日入ってくる収入の範囲内でやりくりしなければなりません。

 

もちろんサンドボックスモードでは、その限りではないと思います。(未確認)

 

たのしい買い物

 

お店では数日ごとに商品が入れ替わるため、欲しいアイテムや土地パネルなどを、なんとかして買いたくなるように、うまく購買欲を煽ってきます。ですが、これがなかなか楽しい。「今日は造園は控えめにして、貯金して明日になったら欲しいものを買おう」というような、計画的に買い物をしてゆく気分に、自然となるのです。それがまた、のんびりしたゲーム性に対する、ちょっとした刺激、スパイスになっているのです。ゲームとして楽しくなるように、うまく設計されているなぁ、と思いますね。

 

 

まとめ

ガーデニングに対してアレルギーがある方でなければ、ぜひともプレイしていただきたい作品。完成度も高いです。前述したとおり、軽い戦闘イベントのようなものは、たまに起きますが、難易度を下げれば問題はない程度のものですので、「人や動物を撃ったり斬ったりするのは、もうイヤだ!」という方には、特にお勧めしたいです。

 

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RPGとADVの境界:Fabled Lands

 

前回の記事では褒めちぎりましたが、ちょっと冷静になりました。

そこで、Fabled Landsの「あまり良くないところ」の話もしようと思います。

 

  1. 能力値配分がないこと
  2. 戦闘で経験点が得られないこと
  3. マップが広すぎること

 

主に、この三点ですね。

3は良いところでもあるのですが、1と2については、RPG(ロールプレイングゲーム)というよりはADV(アドベンチャーゲーム)に近いということで、賛否分かれる部分かもしれません。

 

本作でRank(レベルに相当するもの)が上がるのは、特定のクエストを完了した場面のみであり、いわゆる稼ぎや狩り、つまり戦闘でレベル上げをすることはできなくなっています。そのため、これはRPGではないのでは?という意見も必ずでるでしょうから、あえてわたしも、「ADV寄りのRPGである」と定義することにしました。

 

これはCRPGとしての楽しさを求めるのか、あるいはTRPGとしてのそれを求めるのかで、評価が180度変わる可能性があり、ちょっと慎重に意見を述べることにはします。ゲームとしては、作りがわりと丁寧で出来がいいのですが、やはり、グラインド(レベル上げ)を楽しみたい人には、物足りないゲームであるのも事実でしょう。それと、任意の能力値配分要素がないのも、人によっては許しがたい部分かもしれません。

 

それでも、基本的にはRecommended(おすすめ)かな。この世界に触れるという体験部分だけを切り取っても、良作に出会えたと、わたしは感じているからです。

 

 

あと、最初の職業選択についてですが、積極的に戦闘をしたいのならば、問題を会話で解決するのが得意なトルバドールは避けたほうが無難かもしれません。やはり戦いの専門家である戦士や魔法使いなどがいいと思います。たぶん。

Fabled Lands:その素晴らしき世界

Title

Fabled Landsというゲームを買いました。

久々に本格的なRPGと出会った気がします。一言で説明するならば、CRPGのシステム上で再現されたTRPGという塩梅なのですが、これが非常に面白いです。

 

運命のダイスによって決定される世界

本作における行動は、すべて6面ダイスによって定義されます。

1d6

こんな具合に、往く先々でさいころを振ることを要求されるのです。

 

しかし、ダイスロールによる乱数で決定づけられる運命というものは、おそらくはキャラクターというよりは、プレイヤーのリアルラックが絡んでくるので、人によってはとてつもなく運の悪い人生になる可能性はあります。ただ、本作ではセーブ&ロードが可能なので、もしもダイス目が気に入らなければ、ロードして「夢だったことにする」こともできます。高難易度ではそうはいかないかもしれないですが、いつでもやりなおせる冒険というものは、安心感とゲームらしい楽しさに繋がりますね。

 

(もちろんローグライクのようなスリルを求める方は、ぜひとも高難易度に挑戦していただきたく思います)

 

2Dで描かれる世界の魅力

Fabled Landsの世界は、すべて2Dで描かれています。そのグラフィックの美しさ、素晴らしさは、古き良き洋ゲーに親しんだ方ならば、少なからず琴線に触れるのではないでしょうか。

Field Map

どうですか、これですよ!?

なにかこう、心にぐっと来ませんか?

 

くるはずです!こないはずがない!!(断言)

 

いや、わたしは冗談抜きで、真顔でこれを書いているのですが、この雰囲気に飲まれないやつはRPGを語る資格は無い!

 

それくらい本作を気に入っているのです。

 

オープンワールドに彩られる大陸

World Map

まずこの地図だけで、ごはん三杯くらいはいけます。

 

それはいいとして、Fabled LandsはノンリニアオープンワールドRPGです。どこに行くのも、なにをするのも自由であり、まるでTRPGをソロプレイしているかのような感覚で遊ぶことができます。それだけで、さらにごはんおかわり三杯くらいはいけます。

 

世の中にRPGは星の数あれども、オープンワールドで遊べるダイスロールシステムのRPGなんて、ものすごく貴重な存在なのです。ストーリードリブンで、リニアな小説か映画のようなゲームがほとんどです。それ自体は別に否定しませんが、わたしはゲームの中では、できれば自由意思で活動したいのです。

 

 

難点がないわけではない

がっつり英語

 

ゲームとしては別に不満はないのですが、唯一の難点は英語しかないことです。

ゲームシステム上、テキストを大量に読む必要のある本作においては、英語であるというその一点が、イングリッシュ・ネイティブではないわたしにとっては、なかなかに手強いのです。しかし、それでも頑張って読むに値するゲームであるとも言えます。面白いからです。単語がわからなければ辞書を引くなり、翻訳サイトに頼るなりして、じっくりと取り組みたいですね。

 

 

なにも具体的なことが書かれていない、ただのFabled Landsファン記事になりましたが、好きなのだから仕方がない。戦闘とかそういうものについての説明は、SteamのPVでも見てください(適当)

 

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ということで、わたしと同好の士であることを自認される物好きな方は、ぜひとも買ってください。ウィッシュリストに入れるだけでもいいです。その数が増えれば、あるいはローカライズされる可能性も出てきますからね。

 

 

人生のグラインド

お題「ゲームで学んだこと」



ゲームで学んだことは、言語化できないことも含めて、いろいろありますが、一番人生で役に立っているのは、「スキル」とか「レベル上げ」といったゲーム用語を使い、自分の生活のあれこれを再認識、定義できるようになったことかもしれません。

 

疲れてるからデバフがかかった、とか料理を食べて気持ちにバフがかかった、みたいな言い方をゲーマーはしばしばします。包丁で指を切ったら、反応セーブに失敗した、と考えれば、笑い話で済ませることができます。それは半分ふざけているのもあるでしょうが、自分のフィジカルもしくはメンタルの状態を、客観的に見ることができているという証左でもあります。

 

それが一番ゲームと出会って、メリットになっているなと思った部分です。

もちろんデメリットもありますよ!

やはり、ふざけてると思われることですね笑

 

あとは、オンラインゲームでは色々と学ぶ機会をいだたきました。

 

人間関係の構築、そして、人は一人で生きてはいない、ということを知ることができたこと。その結果、多くの得がたい友人もできました。それを強く認識できるようにしてくれたゲームは、わたしにとって、それをすること自体が考えるきっかけ、つまり人生の学びになっているのです。

インクリメンタルゲームの進化形: Melvor Idle

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しばらくメインPCが使えないので、Ubuntu環境でMelvor Idleをプレイしています。

このゲームの面白さを一言で説明するのは難しいのですが、ジャンルとしていえばインクリメンタルゲームです。クリッカーとは違いますが、数値を増やしてゆくという部分だけは似ています。

 

ですが、本作はそれだけに留まらない部分が多い。

 

フィールドのないRPG

Melvor Idleは古典的名作RuneScapeの開発会社によるゲームであり、筆者はプレイしたことはありませんが、ほとんど同じゲームシステムだそうです。MMOと違うのは、「フィールドがない」ことでしょう。(考古学調査コンテンツのためのマップはあります)

 

自由度の高いMMORPGからの派生ということで、本作のプレイ感は、「とても自由」です。どのスキルから上げてもいいし、どこから冒険を開始してもいい。アンロックされていない高難易度ダンジョンは実質的に序盤では無理ですが、そうではない場所には、とりあえず行くことができる。つまり展開が人によって異なる、ノンリニアなゲームなのです。

 

スキルを上げよう

 

 

Melvor Idleの主目的は「スキル上げ」です。

ゲーム界においてはレベリングやグラインディングと言われる反復行為ですが、本作はそれを自動的にやってくれるので、プレイヤーがすることは、眺めているだけです。そこはインクリメンタルゲームの手法に則っていますが、なぜか見ているだけでも楽しいんですよね。

 

そのスキルの種類もなかなか多く、そして、どれから上げてもいい。慣れている人ならば、効率的に育てるセオリーはもちろんありますが、タイムアタックをしているのでなければ、好きに育てていいのです。筆者は、その自由さがいいと思っています。

 

スキルを上げる理由は、数多く眠るロケーションを訪れ、そこで戦い、アイテムを持ち帰ること。つまりRPGにおける「冒険」をするためです。もちろん、生産系スキルだけを上げ、一切戦わないという選択肢も、ある意味可能ですが、そういう人はあまりいないかもしれません。

 

消費のための生産

現実でも同じだと思いますが、生産と消費はセットになっています。使う人がいるから道具が生まれ、食べる人がいるから農作物を育てる。狩りをする。基本的には、Melvor Idleもその原理で動いているので、たとえば釣りをするのは食べるためです。もちろん趣味と考えてもいいですよ。

 

 

ただ、本作では食べなくても飢えたりはしないので、食べ物は回復アイテム扱い。つまり戦闘をするために用意されている側面もある。もちろん生活を演出するもの、もしくは金策のためでもあります。それをどう解釈するかは、プレイヤーのゲーム世界への没入度次第かもしれません。

 

なぜ人は戦うのか

 

これはゲームにおける、最大の疑問と争点だと思います。

人の歴史とはそもそも戦いの歴史。その戦闘本能をゲームという形で昇華する、という目的、つまりシミュレーターとしての役割はあるのかもしれません。

 

それはそうとして、Melvor Idleの戦闘もやはり自動です。

 

自動ですが、自動飲食(HP回復)スキルを取るまでは、あまり画面から目を離せません。放置しておくと敵にやられて死んでしまうからです。それはそれで、インクリメンタルゲームらしからぬ仕組みのひとつであり、筆者はそれがけっこう気に入っています。放置して、数値を確かめるだけのプレイよりは、いくぶん面白いんじゃないかなと。

 

そして戦う理由のひとつ、それはアイテムがほしいから。

本作は必ずしもハクスラ専用ゲームではありませんが、ある程度育ってくると、レア装備を求めてダンジョンを周回したりするようになるため、そうした一面も持ちます。その反復行動には、やはりゲーマーの一人としては、面白さを感じるのです。

 

あまり良いことではないのかもしれないけどね!

 

総論

ちょっと変わったインクリメンタルゲームを求める向きには、力強く答えてくれるのが本作Melvor Idleです。ゲームとしての深みもありますし、コンテンツ量も多く、最後までプレイするには一年くらいはかかるのではないか、という意見も散見されます。きっとMMORPGのような時間感覚で遊ぶものなのでしょう。

 

ただ、本作の本質は、基本的に数値を上げるだけでもあるので、それを楽しめない方には、あまり満場一致でお勧めはしづらい。バックストーリーはあるでしょうが、リニアなストーリーはありません。感動的な演出や、それを盛り上げるための音楽もない、ストイックなゲームです。どちらかといえば「RPGとはすなわち育成である!」と言い切れる方にこそお勧めかもしれませんね。

 

もちろん私にとっては、好きなタイプのゲームです。