Majotta’s Workshop

インディゲームのいろいろと、ちょっとした創作

STORMWORLD #11

第十一話「感染」

「身体がダルいな・・・なんだ、これ」

「真菌化ノ初期症状、ダト思ワレマス」

「真菌?なんだそれ?」

 

「パッカード・サマノ、オ身体ガ、ゾンビ化シテイル、トイウ意味デス」

 

 

「おい、待てよ、ふざけんなって。なんで僕がゾンビになるんだよ!

そういうのは、遺伝情報の古い、三等市民の奴らだけだろ?」

「ソノハズデスガ、パッカード・サマノ、オ体ニオケル症状ハ、真菌化ノ症状ト、97%ノ確率デ一致シマス」

「なんだよ、それ・・・治す方法はないのか?」

「アリマス。ソレハ【抗真菌化ワクチン】ヲ、投与スルコトデス」

「それはどこにあるんだ、早く教えろよ!」

 

「現在、【抗真菌化ワクチン】ヲ保管シテイルノハ、【世界救済機構】ダケデス」

「なら奪い取ればいいや。いますぐそいつらの居場所を探り出せ。ミリセントを処刑するのは、そのあとでいい」

「オ言葉デスガ、【世界救済機構】ハ、軍隊ヲ保有シテイマス。我々ノ戦力デハ、恐ラク苦戦スルデショウ。一度、本社ニ戻ラレルコトヲ、オススメシマス」

「くそ・・・」

 

因果応報ですね。

STORMWORLD #10

第十話「追跡者」

 

「いないね、ミリセント」

「数日前ニハ、ココカラ発信ガアリマシタガ、移動シタヨウデス」

「めんどくさいな」

 

「ここに居たの?」

「ハイ、数時間前ニハ、ココニ居タヨウデス」

「なんで動き回ってんだよ、うぜえな」

 

「保菌者デス」

「んー、なら手慣らしにあれを殺してみてよ。ケルビンの実戦データが欲しいからさ」

 

 

「承知シマシタ。戦闘開始」

 

 

「戦闘終了」

 

「アハハハ、一瞬だったね。ミリセントの頭もスイカみたいに潰れるかなァ」

「可能デス」

「いやそうじゃなくてさ、もっとこう、ジョークを言ってよって意味なんだけど。

まあプログラムしなおすかな・・・」

 

 

どうやら、ミリセントの身が危ないようですね。

STORMWORLD #09

第九話「パッカード」

 

「じゃ、行ってくるよ」

「お気をつけて、マイケルぼっちゃま」

「その名で呼ぶなと言っただろマギー。パッカード様と呼べ」

「本当に私が居なくても大丈夫ですか、パッカード様」

「うーん、ケルビンのメンテナンスは、もうたぶん僕でもできるから、君がいなくても大丈夫だよ、フリーマン」

「分かりました。社長には特に秘密にしておきましょう」

 

 

「んじゃ、行こうぜケルビン。楽しい遠足の始まりだ!」

「ハイ、パッカード・サマ」

 



 

STORMWORLD #08

第八話「ミリセントの旅」

 

 

ミリセントは放棄された軍のキャンプを発見した。とはいえ、規模は小さく、せいぜい2-3人がいた程度のものだろう。白骨化した遺体がひとつ、砂に埋もれかけている。

 

 

「花がなくてゴメンね」

彼女は白骨を丁寧に埋葬した。

それは優しさからでもあるが、ここにある物資を全部、心おきなく、もらうためでもあった。キャンプを漁ってみたところ、数日は持つ程度の水と食料はある。

 

 

そして、最大の収穫は、ちゃんと動きそうな輸送車を手に入れたことだ。若干改造が施されているものの、元は軍用車両であるため、おそらくは頑丈だろう。

 

 

テントの中には、軍から支給されていた備品と思わしきノートパソコンもあった。なぜか彼女はそれを使う知識を持っていた。そして一緒に保管されていた高性能なアンテナを接続し、周辺の地理データをダウンロードすることに成功したのだった。

 

このあたりは、軍からは管轄外エリアと呼ばれているらしい。そして、PCに残されていた個人日誌によると、このキャンプの持ち主は脱走兵で、軍から逃げ続けて、ここにたどりついたのだと分かった。彼の死因は、脱走の際に受けた銃創によるものだということも。

 

「トラックの燃料があるうちに、なんとか補給できるところまで行きたいな・・・」

 

近くに人が住んでいる場所がないか検索してみたところ、一つだけガスステーションがある。ここなら、キャンプにある物資を売り払い、ガソリンを買えるかもしれない。情報によると、人々は軍の横流し品には、特に高値を付ける傾向にあるため、今それを手に入れたばかりのミリセントにとっては都合がよかった。

 

 

「いつゾンビの群がやってくるかは分からないし、このまま出発しよう」

 

ミリセントは一昼夜歩き続けたため、実はかなり眠かったのだが、徒歩でゆける距離ならば、ゾンビも徒歩でたどり着く可能性がある。車の移動力を使って、ゾンビの追跡を完全に振り払わなければ、この世界では安全に眠ることも難しいのである。

 

持てるだけ、積めるだけの荷物を積み込むと、ミリーは一路、ガスステーションを目指し、トラックを走らせるのだった。

STORMWORLD #07

第七話「ゾンビ」

 

ミリセントは廃墟の町を探索中、偶然そこにやってきていたゾンビの群れと遭遇してしまった。運の悪いことに、バイクのエンジン音に気づいたゾンビが、次々と集まってきた。

 

「もうバイクは諦めて逃げるしかないわね」

 

幸い、ゾンビはあまり足が速くなく、ミリーは重い荷物を背負っても走れるくらいの体力の持ち主だったため、その健脚を活かして、走って逃げることにしたのだった。

 

ただ、ゾンビは一度見つけた「餌」を、そう簡単に諦める性質ではなく、このままではミリセントはずっとゾンビホードに追われることになるのだが、その日は運よく、そこが物資投下地点だったため、ゾンビはより「おいしい」食べ物の詰まった箱のほうに気が向いたのである。

 

 

何事も運の良さは大切ですね。

STORMWORLD #06

第六話「ミリーとバイク」

ミリセントは古い街の廃墟で、一台のバイクと、水と食料も見つけた。

あと古ぼけたラジオも。

 

「まだ動きそう。燃料もあるし、ラジオも電池が入ってる」

 

ミリーはラジオのスイッチを入れた。

 

www.youtube.com

 

「こちら、移動放送局ラストホープ号。この終末世界のみなさんに希望をお届け!

ラジオパーソナリティは、いつもの私、ナディーン・アルハラディ。

そして助手の・・・ダイアナです!」

 

電波はまだ微弱だ。

 

「さて、今日の物資投下情報は、西の0307よ。

ただゾンビホードもそこに向かってるようね。みんな気を付けて!」

 



STORMWORLD #05

第五話「真菌の森」

「様子はどうだ」

「まだコロニーは小規模ですが、すでに活動状態にあります。このまま放置するのは危険かと・・・」

 

アウター・ディレクトリの、とある一角で、太古の昔に人類を滅ぼした、恐ろしい菌類の森が蘇りつつあった。それは人間をゾンビに変え、いずれそれを苗床にして広がり続ける真菌類だった。

 

 

「焼き払うことはできないか?」

火炎放射器で表層部の子実体は破壊できますが、おそらくは地中深くに根を下ろす菌糸群に届きません。やはり薬品を使って根絶するしかないでしょう」

「ならば仕方あるまい。手持ちの薬をすべて使って、増殖を防ごう」

「ですが、ワクチン用に確保した分がなくなってしまいます」

「どのみち、真菌が増殖して森にでもなったら人類は終わりなんだ。いま食い止められれば、それでいい」

 

恐ろしいことになってしまいました。