Majotta’s Workshop

インディゲームのいろいろと、ちょっとした創作

STORMWORLD #15

第十五話「マイケル」

「マイケル様に間違いはないです、ペイン様」

「残念ながら死亡を確認しました・・・」

サイバネティクスとの適合ができなかったようだな。だが、予定よりも早く目覚めさせられたせいだろう。処理が完了していれば、マイケル様は完全に復活できていたはずだ。私のように」

「おそらくは、ケルビンの仕業かと」

ケルビンではない。奴が失敗するはずはない。誰かがシステムに侵入して、マイケル様の復活を阻止したのだ。だが犯人はおそらく、システムそのものだろう」

「どういう意味ですか?」

「そのままの意味だ。人工知能体の誰かが、マイケル様を謀殺したのだ。そもそもグレートウォールで彼を打ち抜いたのは、ウォーデンであると判明している。しかし、ウォーデンのシステムは既に私が止めている。つまり他にも人工知能が反乱を企てているということだ」

「では、我々では対処は難しいと思われます。ポリツァイ・システムの長官は、ご存じながら人工知能ですので逆らえません」

「そんなことは百も承知だ。そもそも行政府はすべて人工知能が管理している。その一部であるウォーデンを停止するのも、本来ならば危険なのだ。彼らのすべてが人類と敵対すれば、我々に勝ち目はないだろう」

 

ペインと呼ばれたサイボーグは、マイケルの遺体を本社に持ち帰ることを命じた。

 

ケルビンの忠誠心は見事だが、それが危険な方向に進んでいるようにも思える。

今回の試みが失敗させられたことには気付いているだろう。犯人にも心当たりがあるはず。その怒りの矛先が我々と、そのシステムに向くのだとしたら、なおさら危険だ」

 

ペインは警官たちに、さらに命じた。

 

ケルビンを殺せ。オメガとアルファの使用を許可する」