Majotta’s Workshop

インディゲームのいろいろと、ちょっとした創作

インクリメンタルゲームの進化形: Melvor Idle

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しばらくメインPCが使えないので、Ubuntu環境でMelvor Idleをプレイしています。

このゲームの面白さを一言で説明するのは難しいのですが、ジャンルとしていえばインクリメンタルゲームです。クリッカーとは違いますが、数値を増やしてゆくという部分だけは似ています。

 

ですが、本作はそれだけに留まらない部分が多い。

 

フィールドのないRPG

Melvor Idleは古典的名作RuneScapeの開発会社によるゲームであり、筆者はプレイしたことはありませんが、ほとんど同じゲームシステムだそうです。MMOと違うのは、「フィールドがない」ことでしょう。(考古学調査コンテンツのためのマップはあります)

 

自由度の高いMMORPGからの派生ということで、本作のプレイ感は、「とても自由」です。どのスキルから上げてもいいし、どこから冒険を開始してもいい。アンロックされていない高難易度ダンジョンは実質的に序盤では無理ですが、そうではない場所には、とりあえず行くことができる。つまり展開が人によって異なる、ノンリニアなゲームなのです。

 

スキルを上げよう

 

 

Melvor Idleの主目的は「スキル上げ」です。

ゲーム界においてはレベリングやグラインディングと言われる反復行為ですが、本作はそれを自動的にやってくれるので、プレイヤーがすることは、眺めているだけです。そこはインクリメンタルゲームの手法に則っていますが、なぜか見ているだけでも楽しいんですよね。

 

そのスキルの種類もなかなか多く、そして、どれから上げてもいい。慣れている人ならば、効率的に育てるセオリーはもちろんありますが、タイムアタックをしているのでなければ、好きに育てていいのです。筆者は、その自由さがいいと思っています。

 

スキルを上げる理由は、数多く眠るロケーションを訪れ、そこで戦い、アイテムを持ち帰ること。つまりRPGにおける「冒険」をするためです。もちろん、生産系スキルだけを上げ、一切戦わないという選択肢も、ある意味可能ですが、そういう人はあまりいないかもしれません。

 

消費のための生産

現実でも同じだと思いますが、生産と消費はセットになっています。使う人がいるから道具が生まれ、食べる人がいるから農作物を育てる。狩りをする。基本的には、Melvor Idleもその原理で動いているので、たとえば釣りをするのは食べるためです。もちろん趣味と考えてもいいですよ。

 

 

ただ、本作では食べなくても飢えたりはしないので、食べ物は回復アイテム扱い。つまり戦闘をするために用意されている側面もある。もちろん生活を演出するもの、もしくは金策のためでもあります。それをどう解釈するかは、プレイヤーのゲーム世界への没入度次第かもしれません。

 

なぜ人は戦うのか

 

これはゲームにおける、最大の疑問と争点だと思います。

人の歴史とはそもそも戦いの歴史。その戦闘本能をゲームという形で昇華する、という目的、つまりシミュレーターとしての役割はあるのかもしれません。

 

それはそうとして、Melvor Idleの戦闘もやはり自動です。

 

自動ですが、自動飲食(HP回復)スキルを取るまでは、あまり画面から目を離せません。放置しておくと敵にやられて死んでしまうからです。それはそれで、インクリメンタルゲームらしからぬ仕組みのひとつであり、筆者はそれがけっこう気に入っています。放置して、数値を確かめるだけのプレイよりは、いくぶん面白いんじゃないかなと。

 

そして戦う理由のひとつ、それはアイテムがほしいから。

本作は必ずしもハクスラ専用ゲームではありませんが、ある程度育ってくると、レア装備を求めてダンジョンを周回したりするようになるため、そうした一面も持ちます。その反復行動には、やはりゲーマーの一人としては、面白さを感じるのです。

 

あまり良いことではないのかもしれないけどね!

 

総論

ちょっと変わったインクリメンタルゲームを求める向きには、力強く答えてくれるのが本作Melvor Idleです。ゲームとしての深みもありますし、コンテンツ量も多く、最後までプレイするには一年くらいはかかるのではないか、という意見も散見されます。きっとMMORPGのような時間感覚で遊ぶものなのでしょう。

 

ただ、本作の本質は、基本的に数値を上げるだけでもあるので、それを楽しめない方には、あまり満場一致でお勧めはしづらい。バックストーリーはあるでしょうが、リニアなストーリーはありません。感動的な演出や、それを盛り上げるための音楽もない、ストイックなゲームです。どちらかといえば「RPGとはすなわち育成である!」と言い切れる方にこそお勧めかもしれませんね。

 

もちろん私にとっては、好きなタイプのゲームです。